周防柳
集英社

2015.6.3
夫の浮気で離婚したのち、独りで育て上げてきた大学三年生、二十歳の娘が、真冬の夜の冷たい川に 飛び込んで死んだ。娘は妊娠していた。

親も子も夫も友人もぜんぶ失って、一人ぼっちだ。私の人生には何も残っていない。やるべき事、娘の死の真相を知る、それただ一つをやって死のうと、娘の死の真相に迫る。

達者な筋運びで一気に最後まで読ませるのだが、作者の顔が、「これぞ、周防柳だ」が見えてこない。誰にでも書けるような話はつまらない。 
細胞の不思議
永田和宏
講談社
 
2015.6.10
数億の精子のうちのたった1個だけが奇跡のように卵子に辿り着いた受精卵。その一個の受精卵が、次々に分裂し60兆個になった細胞からなるヒト。その総延長は地球の15週分にもなる。ヒトの身体は小さな宇宙、細胞は宇宙に輝く星のよう。その細胞の不思議が語られる。

個々の細胞には寿命があり、全生涯にわたって生き続ける細胞から、1〜2日で死ぬ細胞まで。平均すると1日で2%の細胞が入れ替わっている 1年経つと細胞はほとんど新しくなっていると云う。 
細雪」上・下
谷崎潤一郎
新潮文庫

2015.6.24
大阪船場で古い暖簾を誇る旧家の四人姉妹の、純日本式の昔の生娘の純真さを保った三女、雪子と、奔放な気質の四女、妙子の二人を通して、昭和十年代の古き良き時代の美しい日本が船場言葉で巧みに巧みに綴られる。

近代文学の代表作と云われているが、小説として面白いかと云えば面白くはない。ただ、谷崎潤一郎にしか書けない絢爛たる物語で、古典の一つとして読まれ事は確か。

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(本タイトルのフォント青色の書籍が、もう一度読みたい本

2015.6月