「幕末浪漫剣」
鳥羽亮
講談社文庫

2015.3.5
お玉ヶ池玄武館で鬼柘植という異名を持つ、柘植(つげ)恭之介は、五十石の御家人の冷飯食い次男でもあり、自分の道場を早く持ちたいと道場破りで名を上げる。道場資金稼ぎのため、伊勢の小藩尾島藩御家騒動に助太刀するのだが、撃剣館の鬼と恐れられた神道無念流の遣い手と相対する事となる。

凄絶な斬り合い、チャンバラ・エンターテインメント小説。ただそれだけと云った感じ。 
「幽恋舟」
諸田玲子
新潮文庫

2015.3.15
2000年山本周五郎賞候補作。舟番所で舟の出入りを監視する男が、川面に身を投げた娘を助け上げる。自分の娘と同年齢の町娘に惚れ、その娘に降りかかった人殺しの嫌疑を晴らす為奔走する。

「女は首を打たれ、物言わぬ骸(ムクロ)に」と大変巧みな序章で始まり、「川面に身を投げた娘の母親は、乱心して人を殺め打ち首になった」と話は繋がり、また、その娘は、藩主の若殿時代の落とし胤かもと。

筋書きに拘り過ぎて、登場人物が描かれず、胸に迫ってこない。
「明治維新という過ち」
原田伊織
毎日ワンズ

2015.3.28
明治維新は、潜在的に倒幕の意志をもち続けてきた外様二大雄藩、長州・薩摩下層武士によるテロを手段とした倒幕。明治以降とは、長州・薩摩の世で、挙句には長州軍閥により大東亜戦争に突入に至ったと。長州・薩摩が、書かなかった実相を整理して綴ると。また、坂本龍馬は、日本侵略を企てていたグラバー商会の手先、吉田松陰は、士籍剥奪、家禄ク没収されたはみ出し者と言い切っている。

期待を持って読み始めたのだが、長州に対する生理的とも思える嫌悪感が溢れていて不快。愚だ愚たと長州に対する憎しみとも思える怨嗟の単語がこれでもか、これでもかと綴られる 事実だけを語り、どう思うかは読者に委ねる事が良かったのでは。 

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(本タイトルのフォント青色の書籍が、もう一度読みたい本

2015.3月