（本タイトルのフォント青色の書籍が、もう一度読みたい本

２０１５．２月

「女のいない男たち」 村上春樹 文藝春秋 ２０１４．２．５ 標題作を含む６短編集。この「女のいない男たち」は、まえがきによると、個人的なきっかけで「そうだ、こういうものを書こう」と即興的に淀みなく書きあげたとの事。自分の世界に、一人、唯酔っているだけと云う感じがする。ただただ事実だけが繋がるだけで深みの無い薄ぺらなくだらない話。とってつけたような比喩も鼻につく。テレビを通してのこの作者が醸し出す雰囲気に嫌悪感を感じる所為なのかもしれないが。傲慢不遜極まりない男に思えて仕方ない。 「ドライブ・マイ・カー」浮気を繰り返していた病死した妻の不可解さに悩む４０代初めの二枚目俳優の話。　 「イエスタデイ」友人から、強制的に友人の彼女と一度きりの奇妙なデートをさせられた男の話。 「独立器官」筋金入りの５２歳の独身主義者が、１６歳年下の主婦に恋に落ち、恋死する話。「全ての女性には、嘘をつく為の特別な独立器官が生まれつき具わっている」と。　 「シェエラザード」前世はやつめうなぎと云う、四歳年下の専業主婦と性交する度に、興味深い、不思議な話を聞く男の話。 「木野」会社の同僚との妻の浮気現場を目撃した男の話。会社を辞めバーを開業する。 「女のいない男たち」夜中の一時過ぎの電話で、昔の女が自殺したと、その女の夫から知らされる。

「著名人が語る＜考えるヒント＞宗教を考える」 リブリオ出版 八木誠一/ひろさちや/福永光司 ２０１５．２．１５ キリスト教とは、「イエスが始めた宗教」、「イエスをキリストと告白する宗教」。自由な人格は、けっして個々に孤立して成り立っているのでない。お互いに他者を媒介し合って成り立っている。律法のうち最も大切な戒めは愛である。神を愛する事と、隣り人を愛することである（善きサマリア人のたとえ話） 仏教とは、私達の物の見方を変える事。仏教の教えの根本にある考え方は、ものはみな「空」。空とは「差別するな」「こだわるな」という意味。 中国思想は、実践第一主義。

「谷崎潤一郎の恋文＜松子・重子姉妹との書簡集＞ 中央公論新社 千葉俊二 ２０１５．２．２５ 盲目物語のモデルとなった谷崎三番目の妻、松子夫人、細雪のモデルとなった松子の妹、重子との書簡集。谷崎フアンには、堪らない書簡集。 ４６歳の谷崎が、松子に「一生あなた様に御仕え申すこと、身を亡ぼしても無上の幸せ、「盲目物語」なども始終あなた様の事を念頭に置き、自分は盲目の按摩のつもりで書きました。あなた様なしには私の今後の芸術は成り立ちません」と、そしてまた、「決して決して身分不相応な事は申しませぬ故一生私を御側において、御茶坊主のやうに思し召して御使ひ遊ばして下さいまし」と激白。 谷崎は、１５年連れ添った妻（谷崎と関係のあった向島の芸者の妹）を佐藤春夫に譲った翌年、４５歳で父娘ほどにも年齢の離れた才女と再婚するが二年で離婚し、大阪一の豪商の妻だった松子と再々婚。 言う事なし。羨ましい限り。